ケア用品

 コンタクトレンズは、1日タイプと1週間の使い捨てレンズ以外は、はずした時に洗って汚れを落とし、消毒して保存液に漬けておかなければいけません。様々なケア用品がありますが、どれも消毒剤としては、低水準(Spauldingの分類)で、一般的な細菌には有効でも、ウイルスや、ある種の細菌には効きません。そして有効というのは、使用方法をきちんと守って初めて有効という事です。

a、ハードレンズ用の場合
 研磨剤の入っているものと、そうでないものがあります。当然のことながら研磨剤入りの方が汚れがよく落ちますが、ハードレンズの中には表面加工を施して装用感を良くしているものがあり、研磨剤入りのものを使うと加工部分が剥がれて装用感が悪くなるので要注意です。

b、ソフトレンズ(頻回交換を含む)用の場合
 以前は煮沸消毒が主だったのですが、煮沸によって汚れの蛋白成分がレンズにこびりつき、それが角膜上皮障害や、巨大乳頭結膜炎の原因となりやすかったため、今はほとんどが熱を使わない化学消毒と呼ばれる方法になっています。化学消毒は大きく2つに分かれます。

@過酸化水素を使うもの→消毒と中和の2ステップ必要。
 このタイプは中和を忘れてそのままレンズを目に入れ、激痛にびっくりして来院される方が時にいらっしゃいます。あわてずじっくり目を流水で洗ってからいらしてください。最初に充分洗ったかどうかで後の症状に差がでます。

AMPS(マルチパーパスソリューション)→洗浄、消毒、保存が1本でできる。消毒成分と洗浄成分が含まれ、洗浄成分としては、たんぱく質を落とすものがほとんどだが、脂質を落とす成分を加えたものもある。
 MPSは、@のような事がなく便利なようですが、@ほど消毒効果が強くありません。

 以上が基本的な話です。@は1ステップで中和ができるものができましたが、つけ置きの時間が長くなりました。MPSも最近新しい製品が次々出ています。



 ところで、アルコン社のオプティフリーという製品があります。最近オプティフリーPlusという製品がでて、脂質を洗い流すのにテトロニックという洗浄成分が加わりました。しかしここではテトロニックの事でなく、消毒成分のポリクォッドに注目したいと思います。
 2週間タイプの使い捨てレンズをきちんとケアしているにも関わらず、使い始めて2,3日経つと角膜に傷ができる方がいました。レンズをはずし、角膜の保護剤(点眼薬)をさすと治る、着けると傷ができる、の繰り返しです。色々試行錯誤のすえケア用品でも変えてみますか?という話になりました。その後しばらくぶりで診察にいらしたのですが、不思議と傷がありません。その時その方が使っていたのがオプティフリーでした。
 ちょうどその頃アルコン社のミニ講演を聴きました。オプティフリーの消毒成分であるポリクォッドは、分子サイズが225Åと格段に長く、直径が30〜50Åのレンズポア(レンズにあいた小さい穴)を通り抜けないため、レンズに入り込んで蓄積する事がなく、角膜に優しいという内容でした。他の消毒薬の分子はレンズポアより小さいか、少し大きいとしても、折れ曲がるとポアを通過します。そのため消毒成分がレンズに残り角膜を傷つける恐れがあるという事です。いつもはこの手の化学式の亀の甲には弱いのですが、ちょうど合致する方がいたため、すんなり頭に入りました。


 上の写真はアルコン社のご好意で掲載させていただきました。右はポリクォッドを含むMPSに、左はそれ以外のMPSにそれぞれ6時間×10回浸したレンズを黄色ブドウ球菌の培地におき培養したところです。左は中央の丸いコンタクトレンズとその周りに白く抜けたところがあります。消毒成分がレンズに残って菌が生えていません。という事は角膜も傷つく可能性があります。右は菌が生えていますのでレンズには消毒成分が残っておらず、目に入れても安全です。 その後同様な経験がないので、確証とまで言えないのですが、傷がつきやすい方はいつものケア用品を変えてみるのもいいかもしれません。


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